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マネジメントで幸せを呼び込むパワースポットになろう

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プロジェクトをうまく遂行するためには、プロジェクト・マネジャーのリーダーシップは欠かせない。では、いったいプロジェクト・マネジャーのリーダーシップはどのようなものが求められるのだろうか。

リーダーシップを生むもっとも重要な要素  

PMBOK®では、リーダーシップについて次のように記載されている。

一般的にリーダーシップは、他者を動かして物事を成し遂げる能力のことである。恐怖と服従ではなく、尊敬と信頼こそ、効果的なリーダーシップで鍵となる要素である。

(PMBOK®第5版より)

 また、同様の記述がH・ミンツバーグ著の「マネジャーの実像」(日経BP社)の中にも書かれている。

「リーダーシップとは、人々の尊敬を得ることを通じて獲得する尊い信頼のことである」

 (H・ミンツバーグ著「マネジャーの実像」より)

この二つの引用からもわかるとおり、プロジェクト・マネジャーのリーダーシップには「尊敬と信頼」が不可欠であると筆者は考える。では、この尊敬と信頼はどのようにして得られるかを考えてみたい。 

尊敬と信頼のどちらが先か?

shakehand尊敬がない状態では信頼は生まれず、信頼がない状態では尊敬は生まれない。いやそんなことはないと思われる方もいるかもしれないが、信頼をすること自体が相手を何等かの形で尊敬していることである。今まで一度も一緒に仕事をしたことのない相手でも、何か仕事を依頼する時には「やってくれるだろう」という期待をして依頼する。その期待は、相手と会話することで得た過去の実績などより生まれ、その過去の実績などを尊敬する(信頼する)ことにより仕事を依頼するのである。

つまり、尊敬と信頼は、ほぼ同時に生まれる。 

プロマネに対する尊敬と信頼はどのように生まれるか?

他のステークホルダーから尊敬と信頼を得る前に、プロジェクト・マネジャー本人に対して自分自身への尊敬と信頼を持たなければならない。コラム「成功を生むプロジェクト・マネジャーが行う“最初の一歩”」で述べたプロジェクト・マネジャー自身のプロジェクトへの動機づけ、強いコミットメントを持つためにも、自分自身を尊敬し、信頼をもたなければならない。自分自身を疑っていたら、プロジェクトでリーダーシップを発揮することなどおぼつかない。

ステークホルダーからの尊敬と信頼は、コラム「できるプロジェクト・マネジャーが行う成功のためのチーム作り」で述べたチーム形成活動を通して生まれてくる。しかし、初期のチーム形成活動から生まれるステークホルダーからの尊敬と信頼は、とても弱弱しいものだ。

プロジェクト・マネジャーがリーダーシップを持つためには、ステークホルダーから得られる尊敬と信頼を高めていかなければならない。 

尊敬と信頼を得るには

先に紹介した著書「マネジャーの実像」でH・ミンツバーグ氏は、マネジャーの役割は「行動の次元」「人間の次元」「情報の次元」の3つがあるとしている。この3つの次元になぞらえ、筆者なりにプロジェクト・マネジャーがステークホルダーから尊敬と信頼を得るための条件を考えてみた。

行動の次元

行動の次元は、プロジェクト・マネジャーが行動することから得られる尊敬と信頼を指し、次のようなものがある。

 ・期待通りの結果を出すdog-turst2

・コミットメントを貫いている

・柔軟なコミュニケーションができる

・対立を解決する

 

(1)期待どおりの結果を出す

プロジェクト・マネジャーのみならず、期待通りの結果を出すことは信頼を勝ち取る最低限のことだ。プロジェクト・マネジャーへの期待は、プロジェクトを成功に導くことはもちろんであるが、チーム形成活動を通じてステークホルダーと交わした約束事をきっちり実行することで信頼のみならず尊敬を獲得することができる。

(2)コミットメントを貫いている

プロジェクト・マネジャーがプロジェクトを開始する際に描いたビジョンを中心に、プロジェクトに対するコミットメントを貫いていれば、どのような状況になってもブレのない判断と行動ができる。その姿をステークホルダーが見ていれば、尊敬を得ることができるであろう。

(3)柔軟なコミュニケーションができる

プロジェクト・マネジャーは、多くのステークホルダーとコミュニケーションを取ることが求められる。中でもチーム形成活動で知り得た相手の性格や好みに合わせたコミュニケーションスタイル(指示的、協調的、論理的、探究的など)、文化的なニュアンス・規範の違いや周りとの人間関係などを使い、相手に合わせたコミュニケーションを行うことは、他のステークホルダーにはなかなかできないことである。

この柔軟なコミュニケーションを使い、対外部とのネットワーク形成、宣伝・根回し、組織の防衛・緩衝装置役などの政治的な行動ができるとステークホルダーからの信頼と尊敬を強く受けることができる。

(4)対立を解決する

プロジェクト・マネジャーが、対立(コンフリクト)を積極的にマネジメントすることは、プロジェクト・チームをよりよいソリューションに導く助けとなる。

PMBOK®では対立をマネジメントするために必要なこととして、以下のように記載されている。

すべての関係者が心を開き、正直であるのに必要な信頼関係を構築し、コンフリクトを引き起こしている状況への建設的な解決策を模索することに関与すること

(PMBOK®第5版より)

togetherプロジェクト・マネジャーは、先に述べた柔軟なコミュニケーションを使い、あらかじめステークホルダーとの間で信頼関係を構築しておくのが望ましい。その上で、チーム内で協調的な問題解決を定着するように努力する。協調的問題解決ができない場合には、主張(権威やパワーで推し進める)、受容(相手の利を優先する)、妥協(双方が折れる)、回避(先送り)といった、コンフリクトに対処する他の積極的なマネジメントスタイルを適用する必要がある。

PMBOK®には、「コンフリクトをマネジメントすることは、プロジェクト・マネジャーが直面する最大の挑戦のひとつである」とも記載されているが、うまくマネジメントできれば、最大の信頼と尊敬が得られるチャンスでもある。積極的に関わっていけるようにしたい。

 

 いずれの行動も最初からうまくできるプロジェクト・マネジャーはいない。プロジェクト・マネジャーとしての経験を積む上で意識して取り組んでほしい。

人間の次元

人間の次元は、プロジェクト・マネジャーが他のステークホルダーの背中を押して、物事を成し遂げさせるものである。行動するのは、プロジェクト・マネジャーではなく、他のステークホルダーとなる。人間の次元によって尊敬と信頼を得るには、ステークホルダーに次のような思いを抱かせることが必要だ。

 ・信頼してもらえるloyalty-dog

・サポートしてくれる

・影響力がある

 

(1)信頼してもらえる

ステークホルダーが信頼してもらえていると感じるのは、プロジェクト・マネジャーからあまり細かい指示やチェックが入らず、かといって適度な気遣いがあるため放置されてはいない、プロジェクト・マネジャーが共にいてくれるという感覚がある状態だろう。

プロジェクト・マネジャーとしては、細かいチェックや指示をしないわけではなく、必要だと感じた時には行う。常にプロジェクト・マネジャーとしてできることはないかアンテナを張るためにも、情報収集とコミュニケーションは欠かしてはならない。

(2)サポートしてくれる

プロジェクトを推進しているメンバーにとって、自分が成長できる環境を作ってくれたり、自分が問題を解決するために必要な人材を紹介してくれたりすることは、非常にありがたいことである。これらができるプロジェクト・マネジャーであれば、尊敬と信頼を得られるのである。

そのためにプロジェクト・マネジャーには、適切なメンバーの配置計画を立てることや、外部の人と積極的に関わりネットワークを作ることなどが求められる。

(3)影響力がある

プロジェクト・マネジャーが、プロジェクトの内部の人々及びプロジェクト外部の人々と積極的に関わり、ネットワークを形成していれば自然と影響力が増してくる。プロジェクト・マネジャーに対するファンが増え、プロジェクト・マネジャー本人がサポートを受けることも多くなる。プロジェクト・ステークホルダーが、このプロジェクト・マネジャーの影響力を感じると、頼もしく思えると同時に信頼も高まっていく。

 

 人間の次元は、プロジェクト・マネジャーがどれだけプロジェクトに対して献身的になれるかが求められる。自分自身の責任に集中せず、自分の使命に集中することが必要である。 

情報の次元

情報の次元では、プロジェクト・マネジャーが情報を収集・分析・意思決定・拡散することでプロジェクトのステークホルダーに行動を起こさせ、信頼と尊敬を得てゆく。

(1)先見の明

プロジェクト・マネジャーが先見の明を持って、プロジェクトの問題が大きくなる前に対処すれば信頼と尊敬は増してゆく。先見の明を持つためには、事実に基づいた情報収集、全体を俯瞰した情報分析、および的確な意思決定プロセスが必要である。

事実に基づいた情報収集とは、情報を相手の報告だけに頼るのではなく、実際の対象を確認して情報収集することだ。どうしても報告者は、利権が絡み正確な情報があがらないことが往々にしてある。プロジェクト・マネジャーが自ら報告の対象を目で確認するのが望ましいが、大きなプロジェクトになれば難しい。この場合には少なくとも報告者とは別の人に実際の対象を確認してもらう。これは報告者側にとって厳しく思えるかもしれないが、この報告でプロジェクト・マネジャーから的確な判断によるサポートが受けられるとなれば、協力が得られるだろう。それがプロジェクト・マネジャーに対する信頼にもつながる。

 

child-89208_640プロジェクト・マネジャーは、事実に基づいた情報により、全体を俯瞰した分析を行い、的確な意思決定プロセスに従って判断をする。全体を俯瞰した分析は、一つの情報による分析だけではなく、他への影響、根本になっている原因を他の情報と併せて分析する。そのためにプロジェクト・マネジャー自身の過去の経験のみならず、他のステークホルダーの経験も参考にしながら分析を行う。必要ならばコンサルタントにも協力してもらうこともあるだろう。こうしたプロジェクト・マネジャーだけの経験に頼らない姿勢は、ステークホルダーから信頼も得ることができる。

 

全体を俯瞰した分析した結果を持って、プロジェクト・マネジャーは意思決定をする。この意思決定は、プロジェクト・マネジャーが一人で下す決定もあれば、プロジェクト・オーナーやマネジメント層に決定をゆだねる場合もある。いずれにせよ、その問題に対する的確な意思決定プロセスを持って判断をする。

特に複数のステークホルダーを絡める場合には、一人でも外して判断をしてしまうことのないよう注意が必要である。そのためにもPMBOK®にあるプロジェクト立ち上げ時のステークホルダー識別が重要となる。的確な意思決定プロセスを適用することは、すべてのステークホルダーからの大きな信頼と尊敬を得るチャンスではあるが、一歩間違えば信頼と尊敬を一瞬にしてなくしかねない。慎重に行っていきたいものである。

 (2)情報の拡散

プロジェクト・マネジャーは、プロジェクトの内外からの情報中枢機能としての役割がある。情報中枢機能には、情報を集中して収集することと、得られた情報を適切な粒度で流すことが求められる。

得られた情報を流すことは必要だが、注意しなければならないのは情報を氾濫させないことである。情報を流す目的は、情報を元の流した先の相手になんらかの行動を起こすきっかけを作ることにある。行動を起こす必要のない相手にまで詳細な情報を流すことのないようにしたい。このあたりは、PMBOK®のプロジェクト・コミュニケーション・マネジメントのコミュニケーション計画として、どの情報を、誰に、どのようなタイミングで、どのような粒度で流すかなどをあらかじめ定めておくとよい。ステークホルダーにとって、行動に必要な情報が適切なタイミングと粒度ではいってくることで安心感が得られるとともに、プロジェクト・マネジャーに対する信頼度も増していく。

まとめ

プロジェクト・マネジャーのリーダーシップは、ステークホルダーの信頼と尊敬の上に成り立つことを述べた。その信頼と尊敬は、プロジェクト・マネジャーが「行動の次元」「人間の次元」「情報の次元」の3つの次元で活動することにより、獲得してゆくものだ。little-explorers

その活動の基本となるのは、コミュニケーションであり、プロジェクトへのコミットメントであり、プロジェクトへの献身的な姿勢である。ここに上げた以外にもあるかとは思うが、はじめからすべてができるプロジェクト・マネジャーなどはいない。大切なのは「意識する」ことであり、できるところからチャンスを見つけてチャレンジしていってほしい。

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