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マネジメントで幸せを呼び込むパワースポットになろう

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チーム力を上げるには

チーム力は、チーム内のメンバーが自発的な行動を起こさないことには上がらない。自発的行動を促すためにチームのメンバーとのコミュニケーションは欠かせないことは、誰でも知っていることだ。知っているにも関わらず、メンバーのモチベーションが上がらないと悩んでいるプロジェクト・マネジャーは多い。

その問題を解決するのは、相手に深く考えさせて自発的な行動に結びつける「傾聴スキルを使ったコミュニケーション」となる。傾聴スキルについては、ビジネス・コーチング研修や書籍、Webなどで知っている人も多いと思う。ただし、使いこなしていればチーム力は上がっているはずなので、このコラムのタイトルにつられてやってくることはないだろう。

 

また、PMBOK®にも傾聴に関して次のような記載がある。

傾聴は、コミュニケーションの重要な一部分である。傾聴の技術は、能動的でも受動的であっても、それを使う人に、問題領域、交渉とコンフリクト・マネジメントの戦略、意思決定、および問題解決への洞察を与える。

(PMBOK第5版より引用)

これを見ても傾聴はプロジェクト・メンバーのみならず、他のステークホルダーに対しても有効であることがうかがえる。なおさらプロジェクト・マネジャーとして持っておきたいスキルである。

 

傾聴の基本は、自分の意見や主張を言わず、相手が話しやすい環境を築きながら対話をすることにある。しかし、自分の意見や主張を通すコミュニケーションが主体であるIT系のプロジェクト・マネジャーにとっては、この傾聴が非常に難しい。さらにプロジェクト・マネジャー自身が傾聴をされたことがないことも多く、その効果を実感したことがないことも傾聴を難しくしている原因だろう。結果、相手に自発的な行動を結びつけるコミュニケーションができず、チーム力があげられずに悩んでいるのだと思う。

 

そんな悩めるプロジェクト・マネジャーに、私の経験上から得た傾聴をうまく使いこなすコツをお伝えしたい。

聴けないプロジェクト・マネジャー

プロジェクト・マネジャーとは限らないが、頭の回転が早かったり、自分のやってきたことに自信があったりする人は、他人の話を聴けない傾向にある。「聞けない」のではなく「聴けない」のである。「聴く」という行為は、「身を入れてきく」ことだ。

 

「聴けない」人は、相手が話をしている時、相手の話を理解しようと聞いてはいるものの、頭の中で相手より先に答えを見つけようとしている。過去の経験や他の情報を総動員しながら答えを探す。あるいは相手と話をする前に「彼にはこうなってほしい」「こう動いてほしい」と自分の中で答えを用意しておき、相手が話している最中はその答えに応じられるかを見極めていたりする。

 

答えが見つかると相手の話に興味がなくなり、自分の答えを伝えるタイミングをじっと待ち、早く相手の話が終わらないかとさえ思ってしまう。中には傾聴スキルの「受動的傾聴(パッシブ・no-listening-monkyリスニング)」を意識して、黙ってじっと聞いてあいづちや反復をしながら聞いていても、頭の中では次に話す内容を考えていたりする。

もうこの時点で身が入った聴く行為ができておらず、傾聴はできない。

さらに相手の話が終わった時点で、傾聴スキルの「積極的傾聴(アクティブ・リスニング)もどき」を使い、自分の持っている答えに近づけるように相手を巧みに誘導したりする場合もある。これでは相手が自発的に動くことは望めないだろう。

チーム力を上げたいプロマネに送る二つの傾聴のコツ

1つめのコツ

傾聴によるコミュニケーションを図る前提条件として、聞き手として「相手が答えをもっている」と自分に言い聞かせることが大切だ。

そのためには自分の過去の経験や情報を手放し、相手への期待も手放す必要がある。

手放すということは、傾聴によるコミュニケーションによって相手が答えを出すまでは、一切アドバイスや自分の思いを相手に伝えないことを徹底して心掛けるということだ。過去の経験や情報、相手の期待を忘れるということではない。

代わりに相手に伝えることは、「相手の話を聴いてどのように感じたか」を反映して伝えるようにする。これが1つめのコツである。

 conversation

このコツの効果は、感想を伝えるために相手の話に集中するところにある。相手の話に集中すると自然とうなずきや相槌を打ったり、話を反復したり要約したりする「受動的傾聴」ができるようになる。相手の話を深く聞かないと感想が伝えられないからだ。感想を相手に伝えると、相手は聴いてもらっているという安心感から新たな反応を示し、より深く考えるようになる効果もある。

例)

相手: 顧客がこの日までに出すって言っていた仕様が出てこないんです。
PM: ほう。それが遅れると何に影響があるのかな?
相手: 仕様書の作成する時間がなくなり、納期に前に慌てることになって困ります。
PM: そうか、納期が迫って慌てて作るのが嫌なんだね
相手: そうですよ。残業が増えて休日出勤もしなければいけなくなるし。
PM: うんうん
相手: そうなると体は疲れるし。いつも同じ繰り返しなんですよ。
PM: なんか納期前は大変で疲れて嫌だなって感じですね。
相手: 嫌ですね。できれば避けて通りたいぐらいです。

この例では、「慌てて作るのが嫌なんだね」とオウム返しし、その後のあいづちで相手がさらに深く考え本音を出してきている。さらに「納期前は大変で疲れて嫌だなって感じ」とPMが感じたままの感想を言ったことで、相手の本音はピークに達している。

2つめのコツ

2つめの傾聴のコツは、相手の話した内容や実際に起こした行動から、相手の内に秘めた思いや情熱を認知することだ。

ここで注意したのは、話した内容や行動に目を向けて褒めたり、評価したりしないことです。それをすると相手は、話した内容や行動と同じhandsballことをするか、少し改善を図るかのどちらかになり、自発的な行動というよりは褒められた、評価されたことによる行動になってしまう。

逆に相手の内に秘めた思いや情熱に目を向けると、相手がもともと大切にしていることに触れることができる。それを認めることで、相手は自分の存在価値を再認識し、安心して自信が持てるようになる。その上で今できることを考えてもらったり、こちらの要望を伝えたりすることで自発的な行動に結びついていく。(能動的傾聴)

例) (先の例の続き)

PM: へぇ~。でもいつもは避けずにやっているのですね。
相手: 仕事ですからね。自分の遅れでみんなに迷惑をかけるのは嫌ですから。
PM: 責任感の強い人なのですね。
相手: 責任感もそうですが、みんなが疲れてお互いがギスギスする感じが嫌なんです。
PM: チームワークを大切にしているんですね
相手: チームワークがよいと明るいし、お互いを助けたりして、なんか楽しいんですよね。
PM: なるほど。楽しくやりたい強い思いが伝わってきました。今からその楽しいチームワークを築けるとしたら、あなたとしてどんなことができるでしょう?
相手: そうですねぇ・・・他のメンバー担当分でも期日までに仕様がだされていないものがないか確認してみます。もしあればまとめて顧客に仕様を早く出してもらうようにお願いしてみます。
PM: いいですね。他には?
相手: う~ん・・顧客ともギスギスせず楽しくできたらいいと思うから、顧客にこちらの思いを伝えて、決まっていない仕様を先に送るのか、それとも決めてしまうのかを明確にしたいと思います。
PM: すばらしいですね。私の要望もお伝えしてよいですか?
相手: いいですよ。
PM: あなたのそうしたチームワークを大切にしたいという思いを、是非チームリーダとして活かしてもらいたいのです。具体的には、顧客との仕様の窓口、それと他チームとの間で仕様の不整合をなくすために、横の連携を取るように動いてほしいのです。
相手: なんか難しそうですけど、忙しくてもそれができればギスギスはせずに、楽しくできますね。わかりました。やってみましょう。

この例では、相手の「責任感」と「チームワークを大切にする」ことを認知している。認知を通して、相手が本当はどうしたいのか(ギスギスせず楽しくやりたい)を気づかせている。相手が本当に望んでいる状態にするための行動を相手に考えてもらい、自発的な行動へとつなげている。

最後に、相手がもともと大切にしている思い(価値観)に繋げてPMの要望を相手に伝えることで、さらなる自発的な行動を生み出している。

二つのコツから学んだこと

note1002つのコツの例でわかるとおり、聞き手側であるPMは、傾聴にのぞむにあたり何の用意もしていない。最後の要望もPMに多少の思いがあったにせよ、話の流れからPMの思いを伝えることなく生まれたものである。

相手がもともと大切にしていること(価値観)を尊重したコミュニケーションをすることが、相手の自発的行動に繋がっていく。 

最後に

チーム力を上げたいと思っているプロジェクト・マネジャーが持つべき事は、プロジェクト・メンバーが自発的行動を起こす、きっかけを作ることだ。そのためには「反映」と「認知」を使い、相手に深い洞察を与える「傾聴」が有効な手段となることを述べた。

このコラムや他の傾聴を扱った書籍、Webなどで理解したとしても、実践は簡単ではないだろう。やはり、自ら傾聴される側を経験し、その効果を実感して傾聴に対するコミットメントをすることも必要だ。それには、傾聴を実践するワークショップに参加したり、プライベート・コーチを使ったりすることをお勧めしたい。

 

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